ホームレス自立支援策の生活困窮者自立支援制度への「統合」

ホームレス自立支援策の生活困窮者自立支援制度への「統合」

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論者(中山徹)

ホームレス特別措置法から生活困窮者自立支援法へ移行することで,ホームレス緊急一時宿泊事業,自立支援センター支援策は,生活困窮者自立支援法の任意事業である一時生活支援事業に統合された.この一時生活支援事業の問題点について論じている.
端的には考察でまとめられているが,一番は,本人への金銭給付が織り込まれておらず,支援機関が短いといった支援事業の内容が問題だと思う.一時生活支援事業と就労支援をセットで組み込まないと就職のための交通費の捻出もままならない.あと根本的にホームレスに関する調査の規定が織り込まれておらず,概数調査をしないことでまた貧困が見えなくなる可能性がある.
分かり易く論じており,よい内容となっている.

生活困窮者自立支援制度とソーシャルワークのあり方に関する一考察

生活困窮者自立支援制度とソーシャルワークのあり方に関する一考察

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論者(中戸純子)

生活困窮者自立支援法の成立過程とか概要についてまとめている.問題点として他の論文でも指摘しているように,生活保護受給者を抑制する,あるいは脱却させるという新たな抑制策になる危険性.社会福祉士などの専門職が必要なはずなのに,そうではなく研修とかで簡単になることができること.この制度が横断的で,ワンストップかつ伴走型であるためにはソーシャルワークとして真に機能する必要があるという論点.
コンパクトにまとまっている.

ソーシャルワークの視点に立つひきこもりの方の家族への支援

ソーシャルワークの視点に立つひきこもりの方の家族への支援

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論者(山田武司)

ちょうど月刊福祉でひきこもりの記事を読んでいたので,この論文もすんなりと読むことができた.ひきこもりを家族のシステムとして捉えることはセオリーとなっている.社会という外環境から身を守るために家族の中で引きこもることはよくあるが,家システムの中で均衡することが長期化すると,外との関係が脆弱になり,ますますひきこもりとなる.母親は場合によってはひきこもりを助長(サブシステム)し,父親は外の規範を持ち込む敵性として捉えられる…
この論文では,いくつかの事例の紹介とソーシャルワークとしてひきこもりをいかに理解し,そして解決していくのかについて,端的にエンパワメント理論を軸に論じている.さらっと読むことができる.ただ,前の文章のつなぎがかなり重複していたり,丁寧すぎて全体的にフワフワした感じであった.

児童養護施設における「あたりまえの生活」に関する課題

児童養護施設における「あたりまえの生活」に関する課題

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論者(谷口純世)

家庭らしい生活を営んでもらうように,養護施設の小規模化や里親制度の推進などが行われているが,この家庭らしいとかあたりまえの生活を送るとは,いかなる生活なのか.それをアンケートで明らかにしている.
あたりまえと言っても,一人っ子,多子家族,共稼ぎ,三世代…と生活スタイルは違うだろうし,親の性格や環境によっても違う.虐待を受け続けてきた子どもにとっては,虐待のある生活が「あたりまえ」だった.そこに普遍性はないといっていい.ただ,児童養護に求められているのは,安心と安全,そして発達保障を前提とした生活である.それらが「あたりまえにある」生活を営めるように支援することが,児童養護のあたりまえの生活であると思う.論者も概ねそんなことを言っていたような気がする.
ただそれだけではなく,養護に関わる職員の大変さについても言及し,むしろ職員が抱える使命や業務の過大さにむしろ生活に質の向上のための取り組みが阻害されていることを明らかにしている.児童養護で働く人にとっては,アルアルとうなずくことが多々ある内容となっている.

ジェネラル・ソーシャルワークにおける生活への視座に関する研究

ジェネラル・ソーシャルワークにおける生活への視座に関する研究

論者(西梅孝治)

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いわゆる一般システム論について論じている.このシステム論は個別から政策計画まで応用できるとされる広範囲な分野をカバーしうるのでわかりにくいことも確か.個別ケースで言えば,生活と個人の相互作用に着目し,必要であれば社会変革も含む課題解決システムだと思う.文中でも生態学アプローチとの違いがさらっと書かれていたけれど,生態学アプローチはどちらかといえば,個人と生活の間の不調に着目して,個人の変容を促すところに焦点が行きがち(場合によっては生活そのものの変容が焦点化されるが),一般システムでは社会学よりに把握される課題を取り扱っているような気がする.
例えばゴミ屋敷で孤立している高齢者に関して,生態学アプローチでは高齢者と現状の生活の不調面に焦点化して,まずは片付けることで生活が改善されると考える.一般システム論では孤立に焦点化して,孤立を解消するために行政やら地域住民を動員するということかなと勝手に解釈する.
内容はちょっと小難しい.ジェネラル・ソーシャルワークについてやや詳しく知りたい人には勉強になる内容となっている.

途中,エコシステムと生態学アプローチの違いに戸惑う面もあるので,一応,補強してみた.

社会福祉士・精神保健福祉士養成教育における「生活モデル」用語の検討

プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
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