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村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』論

小島基洋(2008)「村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』論」『文化と言語 : 札幌大学外国語学部紀要』68, 47-62

http://ci.nii.ac.jp/naid/110007045363

PDFあり

 副題が、鐘楼のスプーンあるいは208号室の暗闇で光るものとなっている。

 副題が示すように、小説の中でしばしば登場するホテルの一室208号室における主人公の行動や隠喩についての読解あるいは解釈を中心に描かれた論文である。その部屋は夢の中で室内の小物が変わっている。また後半になるとボーイが『泥棒カササギ』の曲を口笛吹きながら銀のトレイを持って出入りするシーンがある。この論文は、この『泥棒カササギ』の含意を冒頭で述べた後、部屋の風景とを重ね合わせて主人公が得たものとは何かを考察している。

 泥棒カササギとは、オペラの一小節であり、その物語は

 銀貨を盗まれた召使いピッポがカササギを追跡し、銀製品の隠し場所である鐘楼を発見したのだ。『泥棒かささぎ』には多くの人物が登場し、複雑な人間模様が描かれている~若い二人の恋愛があり、横恋慕があり、そこに父娘の絆から、一種の姑の問題まで含む。[…中略…]要するに、プロットの中心をなしているのは、カササギが盗んだ銀製品をめぐる誤解とその氷解なのである。

 そのことを隠喩として、主人公が妻を救うにはどうしたらいいのか。カササギの盗んだスプーンを見つけることによってヒロインが救出されたのだったら、ボーイの銀のトレイを見つけることは、妻の救出に繋がるのかもしれないと。

 部屋の変転をじっくりと描いており、夢の中で出てくるホテルの情景とその解釈は幻想的ですらある。また文学論にありがちな哲学や心理学の直接的な解釈がほとんどなく、するっと読めてしまう。よく練られた構成をしていると思う。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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