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ケアリング事例と倫理的問題事例の分析

工藤せい子・阿部よし子(2006)「ケアリング事例と倫理的問題事例の分析」『哲学会誌』40, 21-32,弘前大学哲学会

http://ci.nii.ac.jp/naid/120000917307

PDFあり

 医療行為の複雑さや医療ミスの可視化が進み、そのことで医療ミスの増加と裁判沙汰がマスコミを賑わしている昨今、改めて、医療倫理あるいは看護倫理の重要性が問われるような時代になっている。たぶん、昔から医療ミスはあちこちにあったし、むしろ緩い時代のほうが多かったんじゃないかと思う。よって、現在は権利意識の高揚の結果、医療ミスの可視化と増加を生み出しているのではないかと思われる。そのため、現業者はより規範意識を高めないと、医療ミスが増え続け、賠償などで損害は増え続ける一方である。だから、倫理教育の徹底が必要であると。

 この論文は、ベテランの看護師を対象にインタビュー形式で調査し、かつそれをM-GTAでコーティングし概念化をしたもの。その分析結果を示せば、

  1. ケアリング達成のプロセス
    1. クライエントからの学び
    2. 相互関係からの強い結びつきの形成
    3. 勇気と決断と実行
    4. チームとしての関わり
    5. 医療現場の常識からの脱却
  2. 倫理的問題解決のプロセス
    1. クライエントの代弁者としての役割
    2. 悪しきパターナリズム
    3. クライエントの意向と医師の方針の調整

 この二つの上位概念にも当てはまらない中間概念として〈丸く収めたい〉〈コミュニケーションを成立させたい〉が抽出されたとのこと。ちなみに、インデックスが左にある二つ《ケアリング達成プロセス》《倫理的問題解決のプロセス》が最終的概念。〈クライエントからの学び〉などは、《ケアリング達成のプロセス》に至る〈中間概念〉である。

 大きく分けて二つの事例を提示し、この概念がどのようなつながりを持って構成されているのかを分かりやすく論述している。詳しくは、文中を参照してほしいが、要するに、いろんな事象から、倫理性を取り出すこともできるし、専門的知識の判断を取り出すこともできる。ようは、その実践、事象、現実から何を学ぶかである。そして、おそらくそこに介在している、思考や倫理性~思いをくみ出すことは非常に重要になっている。この論文は、ベテランの取り組みを新人に提示するための方策として、事例を提示している。こうして一つ一つをくみ出し、みんなで検討する。それが身近であればあるほど、納得感は非常に強くなるのではないだろうか。

 これは学校内での教育だけではなく、現場でも検討するべきだと思う。医療-看護だけではなく、福祉-介護でも同様に必要であろう。目の前の事象をどう理解するのか。それは非常に難しい課題ではあるが、それなくして、現場で働くことの意味を見出しにくいのではないだろうか。そしてこの作業は手間がかかり、正解のないことであるが、そうした確認作業を通して専門性を磨いていくことが、現場には必要だろうと思う。

 ただ、それをどう教えたらいいのか。その時、ベテランの力量が問われるのかもしれない。

 非常に読みやすく、じっくりと読みながら考えてしまった。まぁ、若干キレイにまとまりすぎているんじゃないかとか、予定調和的にも見えなくもないけれどね。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
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