ソーシャルワークとケアの倫理

児島亜紀子(2011)「ソーシャルワークとケアの倫理」『社会問題研究』60,1-13

http://ci.nii.ac.jp/naid/120002813003

PDFあり

 ソーシャルワークの根本は、社会正義と公平性であるとの視点から、その対極にあると思われるケアの倫理について考察を加えている。児島先生はこれまでずっと、この社会正義を軸に論じてきているので、この論文だけを読んでもなんでそんなことにこだわっているのかが見えにくい内容だと思う。

 施設現場サイドからすれば、ケアの倫理は当たり前のように映り、その反面、(日本における)ソーシャルワークのアイデンティティが社会正義であることには違和感が残る。しかし、英米のソーシャルワーク理論は、この社会正義や公平性を軸に論じられている。

 ポストモダンのソーシャルワーク理論の議論を踏まえないとなかなか見えてこない内容かもしれない。

 ポストモダンにおける理性への疑問視、簡単に言うと、理性的に判断したとされるものは、実は主観でしかなく、公平性や社会正義という抽象的な判断基準にはソーシャルワークは馴染まないのではないかという疑問である。それは、援助者が利用者へのこうした方がよいと判断を下すことは、実は理性的とか妥当性とかではなく、社会的文脈の中で判断されたものであり、他にもその道筋はあったかもしれないこと。また汎化されない形で、具体性を持って個別的に判断し決定していくプロセスを辿るとき、社会正義や公平性だけでは無理があること。その文脈の中でケアの倫理で言われている議論をじっくりと考えましょうというスタンスである。

 児島先生は、この手の議論を精力的に行っており、PDFでも読めるので興味のある方は是非。


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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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