対人援助職の観る現実

藤原亮一(2006)「対人援助職の見る現実」『苫小牧駒澤大学紀要』15,53-72

http://ci.nii.ac.jp/naid/40007392091

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 副題は、生活史資料を読み解くとなっている。

 福祉ボランティアや教員を取得する学生の介護体験実習など、対人援助などを体系的に学ばない学生が、福祉の現場で実習ないしは利用者や援助者と関わりを持つ際に抱く不安感の軽減を目的にした実習教材やゼミの持ち方についての提案となっている。

 福祉ボランティアは掃除や雪下ろしとは違い、対人的な関わりなしには成立し得ないことから関わり方の態度や知識、距離の取り方などの基本を知っていれば、双方の不安やトラブルは回避されるのではないかとの視点。その視点を知るには、援助者が利用者について書いた援助記録などの手記を読むと良いと提案している。

 その手記から、その援助者がどの様に現実を切り取っているのかを読み合わせする。そのことで、実習に行った時に、利用者と援助者はどのような現実認識で関係が結ばれているのかというロジックを知ることが出来る。もちろん、その現実認識は人の数だけあって、主観と相互作用によって変化する。しかし、援助者の行為だけを見てその通り動いても、その背景にある思いや視点を知らないと、自分の中でも理解がすすまないだろう。よって、手記をきっかけにして、援助者がどの様なことを思っているかを推測することは、現実の自分の行為や目の前の援助者の行為を意味づけることが出来るといえる。

こうした演習や手記を教材に使ったあり方について、現実認識とは何かをポストモダンの視点で提示し、新しい知識や概念を獲得する際には「概念準拠モデル」という物があることを説明し、対人援助の基本的な視点として「樹上の鳥援助モデル」を提示。決して詳しくはないが、それ故に読みやすい内容となっている。また、教材で取り上げた手記もいくつかあり、面白そうだなと思った。

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