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介護保険における小規模多機能型居宅介護の福祉政策的意義

高橋誠一(2009)「介護保険における小規模多機能型居宅介護の福祉政策的意義」『東北福祉大学研究紀要』33,1-14


http://ci.nii.ac.jp/naid/40016739115


PDFなし


 2006年の改正、中でも小規模多機能型居宅介護について論考している。


 なぜ小規模多機能型に着目したかについて、これまでの介護保険の理念とは異なる形態であることである。何が異なるのか。そもそも介護保険は福祉分野の市場を形成することにあった。そして、保険はそもそも標準化されたサービスの提供と、どこにいても受けられることを理念としていた。ちょうど健康保険のように、保険証があれば、どこの病院でも診療を受けられるように。言い換えれば、被保険者は介護認定を受けて、介護保険者証が出れば、それに適した介護サービスが受給されるのである。その際、被保険者は全国どこでも同じようなサービスを受けることができる権利がある。


 しかし小規模多機能型は、基本的に住んでいる地域(日常生活圏)に限定される地域密着型サービスであり、どこでも同じようなサービスを受けることができるというわけではない。特に「どこでも」という訳にはいかない。そもそも小規模多機能型は宅老所を制度化したものである。宅老所はデイサービスやショートステイを柔軟に組み合わせたものであり、登録制でもあり月額包括払いであった。これは介護保険制度では馴染みにくいものであった。なぜ馴染みにくいかと言えば、介護保険は、措置から契約移行により、サービスは各人がニーズに応じて様々選択することが望ましいとされている。なので、登録制という限定的で、長期的な関係を前提とする多様なサービスを包括したメニューを組み込むことができなかったからである。さらに市場型は事業者間の競争が効率がよく、またサービスが不適切であれば、その場その場で別の事業所のよりよいサービスを選択することが理想的であるからである。その意味でも宅老所のサービスはこれまでの介護保険制度とは相容れない所があった。


 そのようにこれまでの介護保険では馴染まないとされる地域密着が制度の中になぜ内包されたのか。ぶっちゃけて言えば、横断的な福祉サービスが「包括的」に支払う方が、多種多様なサービスを組み合わせて、それぞれに個別に払う(出来高)よりも格安だからである。それは支払われる介護報酬の抑制になるからである。


 いずれにしろこの論文は、小規模多機能型居宅介護の成立から現在の経営状況、そしてその背景にある地域密着と介護保険の関わりが詳しく書かれている。今度の介護報酬改定でも、この方向性に変わりはなく、さらに様々なサービスをワンストップでまとめようとする~統制と淘汰の意図が透けて見える。今後の介護保険制度の動向を知る上では良い論文であり、勉強させてもらった。



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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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