スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

特別養護老人ホームの変貌に関する一考察

谷口泰司(2006)「特別養護老人ホームの変貌に関する一考察」『近畿福祉大学紀要』7(2),105-122


http://157.1.40.181/naid/110006428795


PDF論文あり




副題が、介護報酬および要介護認定の視点からとなっている。


措置制度から介護保険制度に移行してから特別養護老人ホームがどのような場所に変わったのかについて明らかにしている。論者が問題としているのは、重度化が政策誘導されたことで、経営が不安定になったこと。そして、虐待や放棄など入所をさせるべき人々が入れなくなったことである。なぜ重度化が経営を不安定にするか。重度の高齢者は、入退院がしがちである。この「入院による不在」が稼働率低下を招くのである。虐待・放棄の案件について、介護保険は一義的には対等な契約を旨とする。そのため措置制度が終焉を迎えた際に、従来緊急入所を一元的に管理してきた市町村の役割が否定されることになった。介護の社会化が入所待ちの高齢者を爆発的に増加を生んでしまった。抽選や先着順では決まらないとはいえ、入所コーディネートマニュアルには虐待・放棄による優先順位はない。また虐待されている高齢者は圧倒的に軽度な場合が多く、入所は遠のいていると言える。


論者が「むすびにかえて」で


特別養護老人ホームは単なる"介護技術のみを提供する通過施設"ではない。もちろん、必要悪でもなく、常時介護と生活支援の双方を安定的・継続的に提供しうる”安心施設”であり、また放棄・虐待を受けている要介護者を安全に保護しうる機能を有している。何よりも特別養護老人ホームは、他のサービスに伍して、自らが尊厳を持って死ぬための選択の一つであり続けるべき使命を担っている


 と考えると述べている。また、居宅基盤の重要性を声高に叫び、地域密着型サービスの重要性を叫び施設解体を迫るかもしれない。しかし、施設の是非については、行政や事業者、専門家や有識者に決定権があるのではなく、利用者および家族のここの内面にその答えはある。とする指摘は重い。


 措置制度が知らない介護労働者が多くなった昨今、縦横無尽に数字を引き、報酬改定の時間軸の中でじっくりと書かれたこの論文はやや敷居が高いかもしれない。しかし、メッセージは明確で論拠もしっかりとした良い論文である。



関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
kumaの学習ノート

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。