介護保険と医療保険との関係

長友薫輝(2010)「介護保険と医療保険との関係」『総合社会福祉研究』37,36-44


http://www.sosyaken.jp/kiyou.htm




介護保険と医療保険は密接に関係しているが、あまり意識されることなく別々に議論される嫌いがある。しかし、この関係性を考えないことには、その問題について意識することが出来にくいのではないか。特に、介護保険が始まって12年、その前の措置制度がいかなるモノか分からない人が増えている。多様な事業主体の参入を認めたのが介護保険制度であるが、そのせいもあり介護保険の事業所で働く人の中に措置制度を知らない人が増えていくのは必然である。


また医療保険は、皆保険体制であり、給付の平等性とフリーアクセスにある。介護保険はその逆であり異質であると捉えられがちである。しかし、医療保険でも受診抑制、給付抑制、診療報酬の操作、医療保険から他分野への移行、生活習慣病対策、医療費適正化計画の推進、国保の広域化などが挙げられる。こうした抑制は介護保険でも見られることである。さらに、介護保険は医療保険抑制の一環でもある。訪問看護は介護報酬であったり、リハビリや療養は介護報酬へなどである。もっとも「介護」という用語は「看護」の安上がり労働として位置づけられた言葉である。つまり、本来は看護業務の領域としていた部分に、安上がりの代替的存在として登場したのが介護という行政用語の出自である。特養の寮母や家庭奉仕員の仕事を契機に、介護の担い手は素人で良いという考えであったことが確認できる。現在では看護ニーズと介護ニーズは別個のモノと考えられがちであるが、本来は上記のような経緯をふまえれば、看護の一部分を担いつつ安上がりの代替的存在として介護が位置しているという垂直的関係の構造で捉えることが出来る。


この他、なぜ国保ではフリーライダーが存在するのか。保険料負担の構造的なもんだいについて触れている。そして、今後は医療保険抑制の一環として介護保険制度が出来上がっているが、今度は介護保険制度で行われている抑制的なシステムが医療保険にも影響を及ぼすこと。安い人件費コスト、サービスの外部か等々。結局悪しき方向に引きずられていくことが懸念される。



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