戦後日本における<家族主義>批判の系譜

阪井裕一郎・藤間公太・本多真隆(2012)「戦後日本における<家族主義>批判の系譜」『哲学』128,145-177,三田哲學會
http://ci.nii.ac.jp/naid/40019301962/
PDFあり
 副題は、家族国家・マイホーム主義・近代家族 となっている
 近代家族についての学説を大まかに概説した内容となっている。
 日本においては、家族とは家父長制が広く知られるところである。その後、マイホーム主義、核家族が主流になっているが、なぜ家族の形が大事かというと、国の秩序形成のためには、理想の家族形態を示す必要があったからである。家父長制が民主的とか主体、社会的連帯を阻害するものとして批判され、マイホーム主義もまた閉鎖性や社会への無関心さとかエゴイズムであるとする観点から批判されるようになる。そして、つまり自明だと思える、家族とはこうあるべきだとする言説は、その時々で移ろうものである。この論文は、その辺のことをじっくりと記述しており、とても勉強になった。
 近代家族を語る上では、家族成員間の情緒的なつながりが最も重要なキーワードになる。男女が、恋愛などのロマンティック・ラブによって婚姻し、生殖活動を行い、子供を愛情深く育てること。これが社会秩序にとって重要なことであると。この論文は、家族の在りかたを問うとはいかに政治的なものであるか。また、こうした政治的な意図が個人の家族に深く浸透しているかを読み取ることが出来る内容となっている。最後に書かれている、家族に縛られることなく、でも解体する事でもない生き方を模索するべきなのかもしれないとする記述に考えさせられた。

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