少子高齢化時代の社会保険制度の展望

安宅川佳之(2010)「少子高齢化時代の社会保険制度の展望」『日本福祉大学経済論集』40,1-32
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007576128

PDFあり
 公的年金保険制度、医療保険制度、介護保険の三保険について、今後2040年までに続く、少子高齢社会の展望について幅広く論じている。すでに団塊の世代が高齢者となり、今後2035年には団塊ジュニアが高齢者になる。仮に出生率が1.3から1.7に改善したとしても人口は減り続け、少子化対策が効果を発揮し、経済財力として生かされたとしても、20年あまりの期間が必要であり、軌道に乗ったとしても30年の労働力化が必要であること。さらに、人口構造が若返りを始めるのは、2043年である。この論文ではあまり触れられていないが、それは団塊・団塊ジュニアという人口の大きな母集団が亡くなって、少なくなった人口でのそれ以後の子供たちだけが残っているというシミュレーションであり、そのころの日本の経済がどうなっているかはだれも想像はできない。一つ言えることは、団塊ジュニアの出生率がそのまま今後の日本の労働力を支えるという意味では、すでに遅きに逸しているのではないかということである。
 この三保険を詳細に論じているが、論旨は、少子化をどうにかしないといけないこと。高齢者の役割がこれまで以上に高まることである。介護保険については、介護事業者の急速な伸びは、結果として収益状況を悪化させ、それが人件費削減、そして低賃金という負のスパイラルが介護人材の不足を招いている事。よって、基準の厳格化など供給量の抑制などを通じて、パイを守るための努力が必要であるとしている。他、自営業が入っている公的年金、第一号保険者も今や、無業者、失業者、学生、非正規雇用、厚生年金未加入企業の従業員が多くしめられ、将来貧困問題を拡大させる要因になっているなど幅広く論じられていてためになる内容であった。

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