セーフティネットとしての生活保護からベーシック・インカムへ

岩本希(2012)「セーフティネットとしての生活保護からベーシック・インカムへ」『北星学園大学院社会福祉研究科 北星学園大学院論集』3,194-207

http://ci.nii.ac.jp/naid/110008915175

PDFあり

 昨今の貧困の拡大を分かりやすくまとめた上で、生活保護受給者の増加について論じ、最後にベーシック・インカムを導入することもメリットを提示している。

 昨今の非正規雇用や相対的貧困は良く論じられているが、改めてこうして表を提示されるとその現実の重さを再認識する。そして、生活保護受給者の増加もまた考えさせられる。しかし、別論文でそれでも生活保護水準以下の人が多数存在し、その中で補足されている率が14%以下という。つまり、80%以上の人が生活保護水準以下の生活をしていながらも受給していないと言うことになる。

 また非正規雇用や低賃金の層が増えたことと生活保護受給は直接結びついているわけではなく、むしろ高齢者による受給者が増えていると見るべきである。つまり、年金では生活できないという状況である。

 またベーシック・インカムは、広くセーフティネットの役割を果たすことを論じている。そうした諸々の状況から政策的な動向を非常に分かりやすく論述している。

 しかし、ここ最近あまりベーシック・インカムの議論が聞こえてこないのは私の単なる情報収集が足りないためなのか…風潮としてそのような流れではなくむしろ惰民防止の風潮が色濃くなっているように思えるのは気のせいだろうか。昔から補足率の低さは、単なる貧困を隠していたためだけではなく、そうした人を見て見ぬふりしてきたからではないかと思う。その意味で、本来はベーシック・インカムは非常によいシステムであるはずだが、それが実施されないというのはまた、そうした貧困あるいは貧困者の不可視化が社会全体を覆っているからだと思う。もし、このシステムが実施されるときは、何か貧困層からの暴動や革命でなければ無理ではないか。それほどベーシック・インカムは社会主義的な色の濃い制度だと思う。

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