認知症関連(3)

 認知症高齢者へのアプローチ以外での論文は6本。認知症の現実認識、家族介護者への調査などであった。

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 特に阿保森塚らの論文は良い内容であった。

 認知症の独特の世界については、和田が見当識障害について調査研究している。心理学の数学的手法に基づいて行われており、人文系の私としては結果だけを頼りに読んだが、認知症はすべからく顔と名前が一致できなくなることや、昔からの人すら忘れる障害があると見なされるが、例え重度であってもそうでないこともあるなど、その障害の多様性について良くまとめられている。

 また阿保は、認知症から見える世界について、認知症ではない人々は新自由主義のもとで効率性と自己責任の足かせをはめて生きている。認知症はそうした足かせから卒業し、現実社会とは異なる常識を作り上げて、影絵のような世界を生きていると論じる。その上で、施設の中で暮らす認知症高齢者の生活を生き生きと描出している。よく観察され、非常に優しい眼差しで書かれた内容。是非読んでもらいたい。

 森塚らは、End Of Life Careに関する文献を一覧にしてまとめた労作。End Of Life Careとターミナル期は混合されて使われており、定義が定まっていないことを問題としてあげている。End Of Life Careは高齢者に特化し、かつターミナル期だけではなくより長期的な意味(余命半年とか一年とかではない)で使われるようである。とにかく、抽出された22本の文献一覧が5ページにわたり書かれており、ターミナル期やEnd Of Life Careの事を調べるには良い資料となっている。

 森本は、認知症サポーター養成について概説している。こうしたサポートの取り組みがあることを初めて知ったし、養成結果、現在200万人のサポーターがいるってのも知らなかった。ただ、有機的にいろいろな機関とつながっていないのも現状のようである。

 認知症高齢者を介護する家族については二本の論文を収集した。

 大夛賀らは家族がケアする時間・時間帯・内容と認知症の有無の違いでどうなのかについて調査している。介護負担ではやはり睡眠不足が明確になっていること。また認知症がある場合は、BPSDによる夜間対応、特に深夜2時毎に発生していることを明らかにしている。

 黒澤は、認知症高齢者をめぐる家族介護の現状について文献を中心に概説している。広範に家族の意識調査から在宅サービスの利用状況まで紹介しており、この手のレポートを書く人には参考になる内容となっている。


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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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