貧困からの脱出を阻害するもの

江口信清(2002)「貧困からの脱出を阻害するもの」『立命館大学人文科学研究所紀要』80,1-27

http://ci.nii.ac.jp/naid/40005482075

PDFあり:ただし、下記のサイトからダウロのこと。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/hss/book/ki_080.html

 副題が、ドミニカ国農民社会の実例 となっている。

 27ページと長い論文であるが、かなりさくさくと読める内容となっている。文章も平易で、構成もしっかりとしている。この論文は、ドミニカのある貧困層が多くいる農村をフィールドワークしたものである。

 結論から言えば、奴隷制度からは解放された後、社会や生活を改善向上していこうとするモチベーションがカトリックによって去勢されていることを明らかにしている。または、古くからの口伝などもそうした去勢に一役を買っていることなどを紹介している。逆に言うと、宗教的な規範が社会や民衆に及ぼす影響の大きさをよく表している。

 収入だけを見ても絶対的貧困にある村人は、それを貧困とは思わずに、精神的に豊かですとあっけらかんと話す。その一方で、献金が少ないと白人の神父に怒られるのを気に掛ける。または、周りとは劣らないような家屋を建てることには非常に気を配る。こうした収入と支出のアンバランスが際だっていると分析している。これって、稼ぐ手段を見いだせず貧困状態なのに、見栄っ張りで、そのくせ、精神的には豊かですって事だろうと思う。

 カトリックの良さもあるが、宗教とは両義的な側面もある。慎ましく暮らすことの大切さを説く一方で、抑圧された民衆の解放をも説く。しかし、ドミニカでは前者による抑圧と貧困による周辺化を維持していると結論づけている。

 宗教による教育が民衆にどのように作用するのかを知る上では良い内容となっている。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
kumaの学習ノート

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク