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知的障害者小規模作業所のエスノグラフィー

堀内浩(2008)「知的障害者小規模作業所のエスノグラフィー」『北星学園大学大学院社会福祉学研究科北星学園大学大学院論集』 11, 27-45

http://ci.nii.ac.jp/naid/110006612721

PDFあり

 副題は、職員-利用者間の相互行為から となっている。

 昨今の障害者福祉では、当時者性とか対等など支援者・援助者の権威性(パターなリズム)への批判がある。障害者へのサポートは、本人の自己実現やニーズ充足、あるいは自己決定権を最大限図るべきだとすることが強調されている。

 では、実際の現場ではどうであろうかと言うことについて調査した内容となっている。主に会話分析とエピソード分析であるが、基本的にどんなにそうした理想(対等など)があっても日常の細部には援助者と利用者にはどうしようもない非対称性、権威性が存在するという視点で描かれている。

 またちょっと笑えるのが、最初の分析で、ボランティア的な立場で入った筆者への援助者の注意を元に、ねちっこく分析している。というか、食事の際にテーブルに肘をつかないことをボランティアの筆者に注意するのは当然でしょ。それを非対称的だとか、規則を押しつけるだの。権威性をちらつかせたの穿ちすぎッス。まずは、明確な利用者に対する会話から入るべきではなかっただろうか。また、会話分析にしろ、エピソード分析にしろなぜその様な事例を取り上げたのかに対する基準があまり明確ではないので、まずは枠組みを提示しながら、そのカテゴリーに沿ったエピソードを整理すると良かったと思う。

 概ね、日常のコミュニケーションに対する権威性や示威的行為を細かく取り上げており、そこには容易に乗りこえられない組織の力を観ることが出来る。ただ、作業所という視点で見た場合、知的障害へのパターナリズムだけではなく、作業をこなす上での効率性や経済性、あるいは労働による身体の規格化の観点からも働きかけているべきであり、そうした視点での考察も必要ではなかったのかとも思った。

 ただ、こうした日常の細部に宿るパターナリズムの実例は研究としては少なく、その意味ではとても参考になる内容である。


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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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