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在宅福祉関係2(家族など)

  1. 田辺毅彦(2007)「高齢者介護における心理学的な試みに関する一考察」『北星論集』45(1),47-57
  2. 權順浩(2011)「家族介護問題における介護サービス利用の効果と課題」『龍谷大学社会学部紀要』 38, 37-53, 2011
  3. 研攻一・板倉久美子(2012)「在宅における高齢者介護の問題(7)」『羽陽学園短期大学紀要』9(2),101-231
  4. 藤若恵美・進藤貴子・永田博(2010)「孫世代の高齢者介護観と介助に対する自信」『川崎医療福祉学会誌』19(2),351-357
  5. 大城トモ子・国吉和子・田中寛二(2005)「老人介護者の生活実態調査・研究報告(2)」『地域研究』1,117-125,沖縄大学
  6. 広瀬美千子(2010)「家族介護者の『アンビバレントな世界』における語りの記述」『老年社会科学』31(4),481-491
  7. 川崎陽子・高橋美千子(2006)「高齢者介護を通じての家族介護者の発達に関する一考察」『東京学芸大学紀要:総合教育科学系』57,115-126
  8. 永野淳子(2009)「わが国の家族介護者のソーシャル・サポートに関する研究」『東洋大学大学院紀要』 46, 67-80
  9. 梶原杏奈・牧正興(2008)「家族同居高齢者の孤独感に関する研究」『福岡女学院大学大学院紀要 : 臨床心理学』 5, 7-14
  10. 佐分厚子(2008)「日本の家族介護者研究におけるwell-beingの関連要因に関する文献レビュー」『評論・社会科学』 85, 83-114,同志社大学
  11. 無藤清子(2006)「高齢者の家族介護者・介護家族支援における重要な視点」『東京女子大学紀要論集』 57(1), 125-154,
  12. 岡本多喜子・Guat Tin NG(2010)「夫が妻を介護する理由」『明治学院大学社会学・社会福祉学研究』105-132
広瀬はPDFなし、佐分は同志社大所属のみ

 家族介護系を中心に、在宅介護者について収集した論文は12本。この手の研究の方向性は、介護がネガティブな面とポジティブな面があること。またこれまで家族での介護は、嫁や妻など女性を中心に、ほとんど義務とされてきた日本的な考えでは、今後の超高齢社会では立ちゆかなくなるといった危機感がある。また家族介護自体、ブラックボックスというか当たり前とされて特に注目はされてこなかったが、それでも度々メディアに上がる高齢者虐待や家族介護の疲れから心中や殺人など後を絶たない。やって当たり前という風潮の中で、では実際に介護をする側になったとき…その労苦は報われることが無く、女性を犠牲にして成り立っていた。

 その一方で、介護保険の登場で介護は社会全体で行うものであると宣伝された。40歳以上からの皆保険である以上そうでなければいけなかった。蓋を開けるとそうでもなかったが、そう謳った効果はあった。これまで無償で陽の当たらなかった家族介護者は、介護保険の登場で権利を有するようになった(と思う)。しかし、介護保険の財源抑制のために再び家族介護に回帰しようとしている。しかし、覆水盆に返らず、あるいは、介護保険前の家族介護とはまったく違った様相を見せる。それは社会側が家族介護に対して配慮をしなくてはならなくなった。しっかり社会で家族介護者をフォローします。だから保険だけはしっかりと払ってください。それだけのことはします、と。それがたとえポーズだとしても…

 と穿った見方をしてみたけれど、ともあれ家族介護については、在宅の利用者本人の聞き取りよりも豊富にある。それは翻れば、社会的な要請もさることながら、いずれ介護をしないといけない自分、または介護される側に立ったとき、よりよい関係とは何か。そうした模索が学者自身にとっても重要な意味を持っていると見た方がよい。

 前置きが長くなったが、在宅福祉関係特に家族やサポートする側に対する文献研究として、佐分がある。この論文を読めばまず家族介護の現状について幅広くレビューをし、膨大な文献の紹介も行っている。かなりの労作なので、この分野に興味のある人は先ずこれを読めと言いたい。同様に文献リュビューとしては、永野もある。こちらはストレスと介護者の関係そして、ソーシャルサポートに特化している。

 家族介護の中に介護者の孤立感がネガティブな要素としてあるが、その事については梶原らが施設の利用者、在宅高齢者、同居家族それぞれの孤立について論じている。相関関係や因子分析などから内実を明らかにしており、同居していても被介護者は対人消極性が、家族は対人不信感が孤立感として促進されていることを明らかにしている。

 ネガティブ要因を簡単に論じたものとして、大城らの研究がある。実質三ページしかない調査論文である。結論としては、精神的な支え~同じようなな環境に置かれている介護者同士の話し合いなどのサポートの重要性を論じてる。

 他に、田辺が介護によって生じるストレスとは何かについて概説している。ただし、論題が広義の高齢者負担だと思っていたが、読み進めると、主に介護保険施設で働く介護員の業務過多な状況について描かれていた。この業務過多になった外因などを知りたい人には参考になる内容。

 家族介護のポジティブ要因としては、自己成長感があるがそのことについては川崎らがインタビューをもとにM-GTAでコーティングして分かりやすく論じている。この論文、かなり面白く、どの段階で自己成長感を感じることが出来るのかなどを実際の発言をもとに書かれており、説得力もあり、途中に上げている表も見やすい。M-GTAの見本のような論文である。

 同様な内容として、広瀬もまたM-GTAを採用して、家族介護の役割について考察している。こちらは自己成長とかポジティブ要因の追求ではなく、どちらかといえばネガもポジも両方を含みながら介護が進行するというファジー(あいまい)な感覚を表現している。役割を遂行しようとする規範的な自分と心情的にも焦ったり投げ出したいとする遂行への抵抗などアンビバレントな状況をインタビューを交えて考察。こちらはある意味、より現実的な内容となっている。

 家族介護とジェンダーの視点で良くまとめているのが、無藤である。この論文もまた家族介護を語る上で重要な論文でこれを読めば家族介護の心理的段階からサポートのあり方、そしてジェンダーと介護のあり方を再考している。特にライフサイクルと介護、家族の関係などは非常に読み応えがある。佐分よりも先にこちらを読み、家族介護の全体像を頭に入れるとより理解は深まると思われる。参考文献も豊富で労作である。

 逆に夫が妻を介護する時のケーススタディとして、岡本らがまとめている。こちらも様々な症例と夫の対応を事細かに書いてあり、読んでいて考え込んでしまう内容である。豊富な事例と共に介護者である夫からの聞き取り調査もまとめてあり、最後に経済的に豊かだろうがそうでないだろうが、自分が妻を世話するのは当然だからという自然体へとたどり着いた夫達の覚悟のようなものをかいま見た。それはその逆もあるだろうと。実に読み応えのある内容。

 変わったところでは、孫世代の介護観についての調査を藤若らが行っている。おおよそ350人くらいの調査。こちらも因子分析で探索的にどのような介護観を形成しているかを構造化したもの。祖父母との親密さが介護への肯定感の正の関係にあること。またジェンダーバイアスなどは無く、社会資源に対して抵抗感はないなどの結果が出ている。結果だけでも面白い内容。

 介護保険サービスの実際の介入から家族と本人と事業者のやりとりを克明に描いたものに、研らの研究がある。これは事例研究としても非常に参考になり、ある意味生々しい。介護事業者が計画に持っていくまで、あるいは困難ケース(家族を含め)をどうまとめるのか参考になる内容である。

 同様に介護サービスが実際家族介護にどのような効果があるのかについては、が行っている。特に経済的な側面に注目して、批判的に考察している。在宅福祉サービスはある程度介護負担の軽減をもたらすが、それでも総体的な軽減にはなり得ないことや金銭的な負担や所得の多寡によってずいぶん違う結果になることをある意味リアルに描いている。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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