在宅福祉関係1(利用者)

在宅福祉に関して収集したものは、22本。そのうち利用者個人についての調査などは9本であった。

堀、菊池ら、金らは、PDFなし。他無料PDFあり

 在宅福祉関係の視点としては、利用者と家族のあり方に大別される。もともと在宅福祉は施設とは違い、家族と一緒に生活することを前提に利用するサービスである以上、家族と利用者の関係性などを考慮するのは当然である。また在宅福祉サービスを利用することでどのような効果があるのかが考察されることは必然である。

 利用者本人での調査のほとんどが在宅で継続して生活していく上でどのような条件や要件があるのか。あるいは、自立した生活とはどのようなものかを考察したものであった。

 福島らは、一人暮らしを継続させるためにはどのようなサポート体制が必要なのかをKJ法でまとめている。随所に図式化され視覚的にも分かりやすい内容となっている。継続条件として、身体・精神・社会的自立に分けており、サポートとしては精神と社会の環境の安定がより重要ではないかという感想を持った。中でも経済的な安定と孤立を防ぐための手だては外部からのサポートとして継続性が求められそうである。

 社会参加については、菊池らが地域コミュニティと余暇活動について考察をし、普段高齢者はどのような余暇を過ごしているかを調査している。案の定、家にいてテレビを見て過ごすことが多いながらも、元気な高齢者はサイクリングやジョギング、あるいはイヌの散歩などなんらかの体を動かす機会を自分で見出して行っており、近所の人たちとの旅行なんかもしている。この論文では、距離や頻度に応じた社会参加について図式化しており読みやすい内容となっている。高齢社会である以上、日常的な地域コミュニティの形成は高齢者自身にとってもそして今後高齢者になる人たちにとっても有用な取り組みだなぁと思う。

 反対に、閉じこもりがちの高齢者についての調査は、平田らが行っている。12名だけの少人数で、数字をはじき出すのはどうかと思うが、医療との関連性はあるが、介護保険では非該当になっているということから生活基盤の確立において福祉のサポートが得られにくい状況が閉じこもりを誘発していることが容易に想像できる。また歩行状態も閉じこもりを誘発していることが示されていたし、自分の活動性が低下していることを十分に理解している様子であった。

 この閉じこもりの帰結としての孤独死について考察したものが、である。この孤独死が注目されたのが、阪神・淡路大震災での仮設住宅での孤独死であるが、その後、無縁社会とか東京の片隅で無くなる事例などが報道されたことから脚光を浴びている。この論文では、そうした孤独死を扱った新聞報道を広く収集し論じた内容で、興味のある人は是非読んでもらいたい。多様な事例をもとに非常に重たい内容である。特に、「孤独」から「孤立」という記述の変化から、それは心情から社会的課題へとシフトしていったとする視点は正鵠を射ていると言える。

 中村らは、身体的な機能について、従来”老いとは”という概念は、高齢者ではない世代から定義づけられてきた。しかし、高齢者になっている人々の主観的な健康観や老いの境地と言うことはあまり調査されていないとする視点で聞き取り調査をしている。中でも、エリクソンの発達段階に沿った質問項目を用意しているのがユニークであった。エリクソンの発達段階は、循環したり行ったり来たりするので、そうした使い方は面白い。日頃高齢者は、特に死について楽観的であったり、気軽に話すこと。またやり直したいとか何かに後悔するよりも明るい諦念とも言うべき現状を受容している感覚に近いことなどが明らかにされている。

 この主観的な調査として、福本らも同様に行っている。こちらは健康が阻害されることで、高齢者はより自分が老いであることを意識するが、健康な状態、大きな疾病による変化やけがなどがない場合は、通常老いを意識していないという結果を報告している。更にやはりというか、ある程度元気な高齢者にとって、年寄り扱いを受けることはあまり好ましく思っていないという結果になっている。また施設入所に対しても負のイメージを持つ傾向にある。また普段老いを感じている人は幸福感とか自己受容が高く、老いを感じる度合いが少ない人は生活の張りや積極的外出などに生き甲斐を見出していた。

 小坂はデイに来ている高齢者の生活満足度を調査している。在宅での日頃の楽しみ方からデイ利用の満足度、デイを利用した結果QOLがどのように向上したかの効果測定である。デイ利用の楽しみは、入浴と食事であった。多分、普段家にいてもあり合わせのものしか食べないので、こうしたところで食べる昼食は一種のごちそうなんだろうと思う。意外だったのが、他者との交流に満足を得ているのは70%。職員サイドとしてはこちらに満足してほしいところであるが、実情はそうであった。

 小坂らに近いところでは、金らの介護予防の日常生活動作や運動機能向上プログラムの効果測定を行っている。今年度(2012年)から介護報酬が改定され、生活機能向上プログラムというものがデイで新設されたが、その参考資料として収集したもの。生活とデイでのトレーニングと両輪としてリンクしていかない。ただきっかけとしてデイでの取り組みが生活に張りや運動する意識付けになる契機にはなるかと思う。

 高見らは日本での利用者満足について広くレビューをしている。その中でもあまり調査されていないケアマネに対しての利用者の満足度調査を行っている。因子分析の結果、因子構造から1.ケアマネの対応、2.サービスのアウトカム、3.サービス提供者の対応、4.利用者のニーズ、5.サービスへの不安となっていた。またケアマネへの期待は利用者本人よりも家族が寄せられていることが分かる。

 このように大まかに見てきたが、総じて高齢者への聞き取りや考察は、自分がいずれこうなるから…というよりも、こうした高齢者の本当の声を聞きながらでは、福祉サービスはどうあるべきかと論じる傾向にあった。この中から特にオススメなのが、分かりやすいところでは、福島らが高齢者の生き方を良く描いている。は考えさせる内容。中村らの取り組みも面白いと思う。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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