社会福祉施設における高齢者虐待についての一考察

李相済(2002)「社会福祉施設における高齢者虐待についての一考察」『立命館産業社会論集』37(4),221-239

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/ss/sansharonshu/374j.htm

PDFあり:独自リポジトリ(題名をクリックすればダウンロードされる)

 副題は、職員配置基準に焦点を当てて となっている。

 題名から分かるように、施設内虐待についての総括的な内容になっている。この手の論文はゴッフマンの言説を取り出して、閉鎖的な機関や施設での入所者は自由や尊厳が剥奪されることを引き合いに出される。いちいちもっともなんだけど、それだけでは解決できない。いくら職員が閉鎖的な中で利用者ここのニーズを適えようとがんばっても、そうできない理由があるからだ。

 この論文は、それを職員配置基準で雇用される職員数が制限をかけられていることに焦点を当てている。もちろん、そんな配置基準を無視してたくさん雇用すれば委員じゃないのということになるけれど、そうすると経営面で危なくなる。結局財源で基準ギリギリでなければ施設自体が立ちゆかないようにコントロールされている。では、何がコントロールしているのか。それは介護保険である。とはいえ、保険財源そのものが無尽蔵にあるわけではないから、その枠組みでやっていくしかないのである。

 それはそれとして、本論では高齢者の声をいくつか拾い上げて、キツキツに働いている介護員の実態などを明らかにしていて、その箇所だけでも読めば納得の内容となっている。

 職員は虐待をしたくて働いているわけではない。そして施設もまた閉鎖的であり続けたいとは思っていない。そうである構造的なことを総体的に書いてある。読み応えがある内容となっている。


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