誰のための施設(ホーム)か

櫻井淳司(2007)「誰のための施設(ホーム)か」『福祉研究』96,25-33,日本福祉大学社会福祉学会

http://ci.nii.ac.jp/naid/40015474309/

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 副題は、人材育成の観点を交えて となっている。

 論文という性質上、ある程度前向きなこととか専門性向上のために書かれることが多いが、この論文は自分が勤めている施設はまだマシだが、他に目をやれば…というどちらかといえば今の暗い福祉業界について良く言えば過不足無く、悪く言えばブログ調で書かれている。

 専門学校や福祉系大学の定員割れ、それによって質の悪い学生をどんどんと入れざるを得ないこと。そして実習先ではまったく意欲が感じられない…無気力さ。そして受け入れる側の施設も一族経営の硬直性、営利至上主義、高齢者を食い物にしたビジネスの横行。場当たり的な研修と人材育成もままならない忙しさ。職員の資格取得に対する疑義。リスクばかり気にしすぎて、介護の質を問われないのが現状である事への嘆きなど。

 中でも面白い記述が、AO入試は、定員確保に苦しむ地方大や新設大では『ALL OK』というのが実態だ。あるいは、外部研修などで接遇や介護スキルなど「どこでも使える研修は、どこにも使えない研修」ということになる。あるいは、「福祉」ではなく「保険」改革となったと、色々と辛辣である。

 確かに介護保険によって誰もが受けられるようにはなった。また権利意識や透明性が従来よりはかなり良くなったと思う。これは私が措置制度からいたから分かるのだが、意識の変化はかなりのものだし、それによって利用者への接し方もかなり変わった。それも良い方向で。

 あとは国の政策を客観的に咀嚼して、自律的に思考して働ける知性である。この自律性を養うのが教育であり、それに連なる育成である。いまは国の方針やら施設の都合で不平不満を言っているレベルであるが、それだけではいつまで経っても介護の質は上がらない。

 もし手に入る環境にあるのなら読んでみてください。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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