社会福祉士の「実践知」形成過程に関する仮説的研究

齋藤征人(2010)「社会福祉士の「実践知」形成過程に関する仮説的研究」『帯広大谷短期大学紀要』47,31-44

http://ci.nii.ac.jp/naid/110008508063

PDFあり

 社会福祉士を有する、主に相談業務に3年以上就いている10人からインタビューなどを行い、M-GTAで概念化した質的研究である。

 日々の業務、特に自分が専門的な判断をしているとき、それはどのような根拠があるのか。あるいは専門職として働き続けるためのモチベーションとは何かについてカテゴリー化して整理している。

 こうしたキャリア形成についてはまず、学びの動機や専門的な判断をする際に参考になるエピソード、失敗体験とそれによるモチベーションの維持と向上、あるいは利用者から学ぶことが一番の学習であるなどが浮かび上がる。この論文でももれなくそうした結果になっている。

 この論文の独自性は、たぶん、身近なモデルとなる人との出会いや乗り越えたいとする人の存在がいるからこそ向上できることをカテゴリーとして明確にしたことだと思う。また周り、同僚や資格取得で知り合った仲間との支えなど、当たり前のことだがあまりこうしたキャリア形成では重要視されていない部分が大きく取り上げられていることである。

 カテゴリー構成が文末にあるので、一旦切り離して見ながら読むと非常に分かりやすい内容となっている。逆に言うと、カテゴリー構成が文末にあるため、最初から読み出すととまどいを覚える内容となっている。

 悩める相談職の皆さんに読んでもらえればと思う。


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論評を賜りありがとうございます

はじめまして。

このたびは、拙稿への論評を賜りありがとうございました。
ご高察の通り、拙稿ではこれまでのキャリア形成において重要視されてこなかった部分について、光をあてたつもりです。
近年、養成教育においても、現任教育においても、制度や技術の学修ばかりが注目されつつあるようです。しかし、本当の意味でのキャリアアップとスキルアップには、実は、モデルとなる人との出会いや、共に乗り越えたい仲間の存在、何よりそういった支援観・人間観をもった人間をいかに涵養するかが大切のように思います。

そして、そのことに新たな専門教育の地平があるように思います。

今は私も現場で活動しております。
これからも「共に」考えていきたいテーマです。

今後ともよろしくお願いいたします。

こちらこそありがとうございます

この手の論文にしては、キャリアアップという垂直面が強調されがちな中、一緒に働く仲間という水平線が引かれており、とても共感が持てました。
私も前に、学会で職人としての連帯とかについて話したのでしたが、反応がイマイチだったので、心強かったです。

これからもお互いがんばっていきましょう。
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kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
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