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地域共生社会と自立した地域づくり:須賀由紀子

須賀由紀子(2020)「地域共生社会と自立した地域づくり」『実践女子大学生活科学部紀要』57,79-89


ここ最近の介護保険の改正とかをまとめた論文は無いかなぁと思ってCiNiiで検索してめぼしい物を横断的に読んでみた.

来年には社会福祉法の改正により重層的支援体制が推進されたり,今回の首相は行政の縦割りの打破とか言っているようなのでこうしたシームレスで包括的な支援体制は今後も推進されていくかと思われる.その意味で,地域福祉,地域共生社会とか地域包括ケアシステムとかそうしたことが主流になっていくんだろうと思う.

この論文は地域共生社会を目指す上で下支えする理論は何かを紹介している.地域福祉の理論的発展史から近似する社会的包摂,社会包摂への言及,居場所とは何かを考察している.論者は大橋健策先生が提唱した〈ケアリングコミュニティ〉を推奨している.詳しくはこの論文を読めばこの理論の詳細を知ることができるので割愛するけれど,一読したところ,最後の方に書かれている現状と課題において,〈居場所〉はたくさん作られているが,主催者の負担が大きいとか高齢化して参加に片寄りがあるとか内輪だけになり新規参入が難しいとか,誰もが気軽に年齢に分け隔て無く参入できるとはなっていない.

構成はよく,よく勉強しているなと思う反面,社会的に排除したり孤立している人達を分け隔て無く参入(社会包摂)する上で,もっともそうしないといけないのは,ひきこもり,路上生活者やホームレスでは無いかと思う.彼ら自身が社会を遠ざけている排除状態をどうするか.それこそが本当の意味での〈ケアリングコミュニティ〉であると思う.


その他,直近の改正について詳しく書いているのが,鏡先生.70ページもある力作.もっとも現在の関心事は2021年の介護保険改正がどうなるか.先生の次回の改正についての解説が待たれる.


鏡諭(2019)「2018年介護保険制度改正と地域包括ケア:地域包括ケアシステムの深化を考察する」『地方自治ふくおか』66,2-73


自立支援と重度化防止についての取り組みについては,見城先生のをサラッと読む.2018年の改正のポイントを分かりやすくまとめている.また自立とは何かについて概念整理をしたりと詳しく調べている.そもそも介護保険が言う自立支援はどうなんでしょうね.自立支援の取り組みをデータベース化して科学的介護を目指すとか.最後に先生も言っているけれど医学モデルにおける自立支援では無く,社会モデルとして見た場合,その人の自立は違った風景になると思う.


見城育夫(2019)「介護保険制度改正に伴う,自立支援・重度化防止に向けた取り組みに関する研究(1)」『沖縄大学人文学部紀要』22,51-59


生活支援体制については山下先生のを参照.この中で先生もボランティアなどを国とか自治体が行いなさいっていうのはお門違いであって,こうしたボランティアなどをつなげるために生活支援コーディネーターが役割として期待されていること.この論文は千葉を題材に生活支援体制の解説を行い,また歴史的にたすけあいとか草の根でのボランティアの発展などを紹介しており非常に分かりやすい内容となっている.


山下興一郎(2019)「生活支援体制整備事業における地域福祉の推進に関する一考察」『総合福祉研究』23,129-141,淑徳大学


この他,地域共生社会を目指す上で〈ソーシャルクオリティ〉という理論を援用して考察している物がある.これは社会的排除論-包摂策において雇用だけに焦点が行きすぎて,それ以外の人間が人間らしく生きていくことが配慮されてこなかった.その反省から,文化とか社会的な包摂に取り組むことが謳われている.コミュニティソーシャルワーカーの事例などもあり読み応えはある.


内山智尋(2020)「「地域共生社会」の実現とコミュニティソーシャルワークの役割」『評論・社会科学』133,137-159,同志社大学社会学会

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kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)→地域包括支援センター→救護施設と20年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
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