看取り・終末期ケア

 参考文献7本。

 いわゆる看取り・ターミナルケア・ホスピスなど死にかかわる考察を中心にまとめてみた。当然のことながら死を看取るという行為は、家族以上に看護職がもっとも多くそうした論考も蓄積があることがうかがえる。また介護保険での「看取り介護加算」なるものがあり、そうした論考もある。


 介護保険施設での看取りに関する総合的な文献を網羅したのが、小林である。36本の論文を抽出し、施設としての取り組み、看護師の実践とその際に感じる困難、終末期における倫理的意思決定、介護保険施設で働く看護師の認識、施設における医療処置と死亡の実態とカテゴライズしている。そのほとんどを参考文献と挙げておりこの手の研究をする上での良い指針となっている。またカテゴライズのほか簡単にレビューをしており丁寧な内容となっている。


 特養やグループホームでの「看取り介護加算」、療養型老人保健施設の「ターミナル加算」、老人保健施設「ターミナルケア加算」に関しての説明義務、それに伴う遺族のグルーフケアの必要性について、中野が少人数での調査を行っている。介護員にとってグリーフケアという言葉や内容、取り組みについて非常に認知度が低いことが明らかになっている。


 職員サイドの終末期ケアの必要性については、佐藤原田が考察している。佐藤は、介護保険施設と知的障碍者施設職員の終末期ケアの意識調査を行っている。2006年の介護保険法改正によって末期がん患者へのサービス提供が可能になった(介護報酬が加算された)事などに触れ、当事者の死のプロセスに福祉専門職が関わることが明記されたことに関連する。223票の高齢者施設と264票の障碍者施設からのアンケート調査。因子分析から終末期に関する心理的な種類が分類されている。当然のことながら障碍者施設では終末期に対する意識は低い。内容としては読みやすく因子分析の結果もうなずける記述となっている。関連して末期がんの患者への対応として、原田はCMが在宅ホスピスをサービスと提供することで困難と思うことについて調査している。末期がんは退院時にケアプラン、医療依存度が高く、短期間で作成する必要があるため介護職のCMは医療への理解度が低く困難性が高いことが指摘されている。原田は、さらにこの上に立ってチームの連携の困難さに焦点を当てて考察している。質問票からの自由記載をカテゴライズしたものでよく整理されている。結果として、まだ末期がん患者へのチームアプローチや介護部門の介入が日が浅く、経験を積みながら学習していくことの必要性を提示している。

 看護師が患者と死について語る時の関係性について内布が調査をしている。死をめぐる戸惑いや躊躇の背景にあることを事例研究やベテランとのグループセッションによって明らかにしている。事例研究のお手本のような内容で、M-GTAなどを駆使しながらわかりやすくカテゴライズしている。看護系はこうしたカテゴライズが好きなのかな?結果として、「会話の範囲・了解」、「コミュニケーション技術」、「関係性」それぞれにバリアがあることが詳細に分析されている。


 面白いところで亡くなる数日前いわゆる臨死体験を個人が語った内容を調査した文献では諸岡らがある。もちろん故人が直接話したわけではなく、それを聞いた遺族からの聞き取りである。宗教体験とかそうしたものを丹念に取り上げていて非常に考えさせられる。最後の方で、臨死体験を語る故人を妄想とかせん妄と片づけるのではなく、そうした体験は看取った人にとって改めて故人と向き合うための「よすが」としてかけがえのないものであると捉えるべきである。


 最後に高齢者自身が介護施設でお迎えを待つことについて実際に調査したのが、牛田らである。先行研究から看取りに関する課題~体制の未確立も検討しておりおおよその見取り体制について知れる内容となっている。事例も交えながら高齢者自身の生の声を収めているだけでもユニークな研究である。ストーリーラインとして、お迎えを待つことは日常的なことであり、日常の心境、心境に至る基盤、家族への期待、自分を大切にする、人を気遣う、自尊心の喪失、生活史の一部に位置づけなおしていることがわかっている。内容として非常にわかりやすく示唆の富む内容となっている。


 人の死は遠ざけられ、脱臭されている中で高齢者~介護保険施設では死は常に日常の中にあることである。その意味で、死に逝く人たちをどう尊厳を持って接するのか。個体としての死とどう向き合うのか。死の間際までいることの多い介護員にとって避けて通れない問いであるはずなのにあまりに参考文献も少なく議論にもならない。その意味で、今ひとつ死を語ることの必要性を感じる。

 今回参考に挙げた中でも、諸岡らや牛田らの研究のような蓄積を通じてよりリアルな死を知る契機が必要であろう。


 内布はPDFなし。他は無料PDFあり



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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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