スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

介護福祉士関連

 介護福祉士を中心に「介護福祉」に関する参考文献は9本。

 「介護福祉とは何か」については、さまざまな関連分野でも述べられていくので、あえて「介護福祉士」のキーワードで分類したものを取り上げてみた。


 介護福祉士に焦点を絞れば、おおよそその資格の持つ専門性を論じたものになる。養成教育については、安藤が介護福祉士の成立過程から養成施設の責務まで広範に論じている。介護福祉士と対となる社会福祉士はかぶる職種が少なくて容易に成立をしたが、介護福祉士の方は関係領域団体の利害や確執が生じ様々な駆け引きが行われたことなどの裏事情が面白い。特に、看護の分野では介護福祉士は自分の地位を脅かす存在として、本来3年の教育を受けさせるところを反対して2年としたことなど今の養成教育においてもそうした縛りがあることが納得できる。またそもそも何を教えることが介護福祉士なのかが不明なままスタートしたこと等わかりやすく描かれている。

 介護保険法と介護福祉士の養成課程の変更などを中心に論じたものが佐々木らである。こちらも介護福祉士成立過程について論じているが、安藤らに比べるとやや精緻な内容になっている。また介護保険がICIDHからICFの概念に変更されたことなどに触れながら、それに応じたリハビリテーションの重視などのカリキュラムの変化などを図説している。政府の通達などをよく読みこんだ内容となっている。特に現在、援助目標、対象理解が重要ではないだろうか。


 介護福祉士の独自性について、介護福祉と看護の違いについて奥津が論じている。奥津は中でも高齢者の在宅生活をこの両者がどのように支えるのか。連携するならば、お互いの役割とは何かについて論じている。一人のある骨折した高齢者の看護師の視点を引合いにだし、単に身体的、ADLの把握だけでは看護職と同じであり、その背景にある利用者のニーズや家族まで想像するべきであり、ソーシャルワークの一方法として介護福祉を位置付けてこそ独自性が明らかになると考えている。その他、専門性について視差の富む内容となっており一読の価値がある。

 同様に介護福祉学として成立するうえで、近接の学問領域(看護学、家政学、社会福祉学)との比較で津田らが研究している。学問が単独で成立することは一部以外はほぼ無理な話で、介護福祉学が実践科学である以上、さまざまな学問を横断しながらも行為としての介護の追及をすることが重要である。


 介護福祉士だけではないが、認知症に関する研修や資格付与について広くレビューしているのが、佐藤らである。1970年代から現代までの認知症ケアの人材育成について、制度基盤の成立からEBMの確立などなどが概説されている。現在は実務者研修やリーダー研修が主流であり、また介護福祉士でも認定専門介護福祉士(認知症)などなど思った以上に多様な資格があることがわかる。

 日本介護福祉士会の取り組みとしては浅井が論じている。専門職とは何かの言及から社会的に専門職としての認知度が低いことを鑑みて、介護福祉士会としては、会自体がすぐれた社会資本としての存在を示すことの重要性を論じている。

 介護福祉士だけではないが、介護職の専門職性については阿部が論じている。専門職とは、エキスパート、スペシャリスト、プロフェッショナルとあり、それぞれの意味について解説している。その他、さまざまな職業や議論に紙幅を割いており、興味のある人には一読の価値はあるかと思われる。介護福祉の専門職の位置づけについても、問題点を的確にあげたうえで、ケアリングという人にとって欠かせない行為を生業にしていることから専門職性があるとする視点に立っている。

 また在宅高齢者への介護福祉士の専門性という事で勅使河原らが調査している。これまでの調査では単純集計やレビューが多いが、この論文は因子分析によって介護知識と介護技術に関するグルーピングを行っている。その上、在宅ケアに特化されているので、在宅ケアにかかわる介護福祉士にとってはどのような知識や技術が必要になるのか参考になる資料である。


 やや別系統であるが、介護保険施設に勤務している介護福祉士の技能についての調査として、青木がある。これは養成ルート(現場経験から国家試験と養成校から直接取得)の違いで施設での業務に対する視点の違いを示している。国家試験ルートの良いところと悪いところ、養成校も同様の評価を調査している。国家ルートは業務に直接結びついた介護技術は優れているが、その根拠や倫理面、制度面については十分な教育の機会がない。逆に養成校側は自立支援への意識や職業倫理は高いが、実務経験がなく即戦力として期待できないという違いがあることがわかっている。


 総じて、「介護」福祉とは何かは様々なカテゴリーの中で論究されることであり、このカテゴリーだけではおそらく把握は困難である。また専門職性についても同様で、それはソーシャルワークの専門性や専門職性、専門資格と重なっていまだに定立していないジャンルである。とはいえ、介護福祉士は看護師に次いで最も多い登録人数になろうとしており、今後介護福祉士の国家資格としての独立性への論究はますます必要になろう。ましてや今後の高齢者の増大から介護を必要とする人々の増加が目に見えている今こそ。

 研究の方向性は多様であるが、社会福祉士の研究分野は実習関係のカリキュラムや指導方法、実習先との連携などがかなりの蓄積があり、介護福祉士は少ない傾向にある。この蓄積が必要であろう。


阿部と奥津はダイレクトにPDF((無料)へ流れるようになっている。その他、このリストは全て無料PDF


青木宏心(2010)「介護保険施設に勤務する介護福祉士の技能に関するピア・レビュー」『目白大学総合科学研究』6,79-94

阿部正昭(2009)「介護職の専門職化とその専門性」『コミュニティとソーシャルワーク』3,24-37

浅井タヅ子(2011)「ソーシャルキャピタルとしての介護福祉士会の役割と機能」『東海学院大学紀要』5,1-5

佐藤弥生・勅使河原隆行(2008)「日本における認知症ケアの人材養成の現状と課題」『保健福祉学研究』6,43-62,東北文化学園大学

津田理恵子・樋口美智子・熊谷智加子(2006) 「介護福祉学確立に向けて」『近畿福祉大学紀要』7(1),49-55

奥津文子(2001)「1999年11月6日日赤福祉学会関東部会大会のシンポジストからの報告」『社会福祉学評論』1,78-87

佐々木達雄・荒木隆俊(2007)「介護保険法施行をめぐる介護福祉士養成課程の変更と「介護福祉」の概念規定の変化」『羽陽学園短期大学紀要』8(1),87-100

安藤美弥子(2006)「21世紀の介護福祉士養成教育に関する一考察」『名古屋文理大学紀要』6, 103-111

勅使河原隆行・佐藤弥生(2008)「在宅ケアサービスにおける介護福祉士の専門性の研究」『保健福祉学研究』6,83-98,東北文化学園大学

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
kumaの学習ノート

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。