神戸小学生殺害事件報道における識者コメントの内容分析

小城英子(1999)「 神戸小学生殺害事件報道における識者コメントの内容分析」『マス・コミュニケーション研究』54, 127-140

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002954768

PDFあり


 副題は、容疑者逮捕前の犯人像に関するコメントの質的分析 となっている。

 かの有名な酒鬼薔薇聖斗事件である。この事件前にいわゆるその手のプロたちがいかに間違った見解を述べ、そのことでイメージに類似していた人たちがいわれのない疑いを周りから受けていたかを分析している。

 この事件に限らず、重大事件が起きればどこからとも無く元検事とか精神科医とかが出てきてプロファイリングをする。それを神妙にアナウンサーなり受け手が聞いてそれらしい教訓を垂れ流す。プロファイリングが当たっていようがいないが、とりあえず報道されることを事実として視聴者は受け取るわけだが、では、実際はどうなのだろうか。

 逮捕されるとあっという間に間違った情報も何もかも忘れて終わりになる。しかし、その間、プロファイリングに近いような人たちはまさに言われ無き被害者になる。オタク、失業者、低学歴者…常に世の中の弱者が批判の眼差しを受ける。またはホモ、レズ、フリークなどのマイノリティが虐げられる。

 この事件でいかにいわゆるコメンテーターがどのような情報を流し、そして犯人像を形成したのか。あるいはどのような根拠で犯人像を描いたのかを調べたモノ。結果として、内面性や犯行の動機などは逮捕後の精神分析とあまりずれないで描かれたが、外見や状況に関してはかなり間違った情報を流していたし、その根拠もしっかりと示されずにイメージ先行、主観、偏見に基づいていることが伺える内容であったことを論じていた。

 いたずらに不安を煽られずに、メディアとはつきあう必要がある。それを再確認させてくれる内容である。

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