「フリーター」/「ニート」を生きる

仁井田典子(2010)「「フリーター」/「ニート」を生きる」『社会学論考』31, 83-112,首都大学東京・都立大学社会学研究会

http://ci.nii.ac.jp/naid/40017445046

PDFあり

 副題は、若年者就業支援施設Zに通うAさんを事例として となっている。

 Aさんはアルバイトはするけれど、ある一定の期間働いては止めて家でゴロゴロとニートになる。ちょうど、フリーターとニートの境界を歩いているような人。いまでこそフリーターってのは社会問題みたいに扱われているけれど、もともと夢や自由を求めて自らの意志でアルバイト生活をする若者って意味で使われた。むしろ気ままに働いて自分のやりたいことや自己実現を労働に縛られずに、必要なときだけ働いてお金を得るってスタイルで当時はとっても輝いていた。

 これは新自由主義的な発想で、雇用の流動化や安い賃金で働くことで企業体質を強化させようとする政府や資本家の策略だったわけで…それが構造改革とかってきれい事に聞こえるけれど、どうなんでしょうね。むしろ、使用者とか金融資本家こそ構造改革されるべきって思うのは賃金労働者のひがみだろうか…

 それはそれとして、このAさん、いろんな意味でイタイ人です。それは長々と本文に書かれている論者とのインタビューを読んでみれば分かるけれど、とにかく真っ当に働いている人からすれば、なに甘ったれているんだよって思う。しかし、それでも、あえていう。これがまた現実なのだと。論者最後の方で、Aさんを責めるわけでもなく、Aさんの「生きにくさ」は、雇用の不安定化が拡大していく現代社会において、その問題を社会的な問題ではなく、個人へと帰責させていく日本社会のあり方から生じたモノであるといえるのではないだろうかと締めくくる。

 確かにAさんのような生きにくさというか後ろ向きでどこかニヒルでいわゆるダメダメな感じの若者はいつの時代にもいて決して成功とか出来ないだろうなと思う。けれども、だからといって、だからお前はダメなんだと言って思考を停止させてもあまり意味はない。問題は、彼を通じて社会を見た場合、それはどんな社会なのか。どこに問題があるのか…それは、あなたではなく、もしかもしたら今度生まれてきた子供がそうなるかもしれない。その時あなたはどうするだろうか。

 面白い内容である。

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救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

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