スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(続)道祖神考

本位田重美(1969)「道祖神考」『人文論究』 20(1), 1-15, 関西学院大学

http://ci.nii.ac.jp/naid/40001969814

本位田重美(1975)「続道祖神考」『人文論究』 25(3), 1-14, 関西学院大学

http://ci.nii.ac.jp/naid/110001068607

ともにPDFあり

 たまたま斉の神とか塞神を調べていたら出てきた論文。ちなみに、CiNiiで道祖神およびPDFありと検索かけると、14件しかヒットせず、しかも有料の「民俗学研究」が大半である。その意味で、無料で手に入るPDF論文としては貴重である。

 それでこの二本の論文、とても面白い。すごくこなれた文章で、読みやすく読んでいて楽しい。ちょっと調べたら、75年の方は、定年2年前に書かれていたことが分かった。おじいちゃん教授が自分のこれまでの研究を振り返りつつ、得々と笑顔でみんなに語っているような光景が浮かび上がるようなそんな内容である。

 特に最初の方の出だしが面白い。

 村の子は、女夫(めを)のくなどの 肩擁(だ)きています心を よく知りにけり

 「くなど」の「く」とは道ばたに男女が肩を抱いて並んでいる石像(道祖神)を指している。それは豊穣を願う心とか子宝を授かることとかそうした自然の営み全般を指しており、村の子供たちはそれと知らずにそうした地域で生きる心をその道祖神の姿からすでに学んでいることを歌った一首を出だしとしている。

 田舎に行けば、どうしてこんな所に石塚が建っているのか不明なものがある。それは菩薩だと何かの供養と思うけれど、単なる丸石だったり、男根を模した石だったり、男性と女性の立像だったりすると、それが何か分からない場合がある。この何が分からない石像は道祖神である場合が多い。そして、道祖神はあまり顧みられない民衆の信仰であり、研究もあんまり進められていない分野でもある。その意味でこうした論文はとても貴重だと思う。

 この論文で総合的に道祖神の生い立ちとか変容がゆっくりとした口調で語られており、非常に読みやすい。道祖神は、いろんな役割があり、

  1. 双立神(男女が肩を抱いている姿などの立像)は、農耕神、衝神(斉の神・塞神)、性神、手向神(旅の安全を守る)
  2. 猿田彦は、双立神に加えて、荒ぶる神
  3. 金精神は、農耕神、衝神、性神
  4. 丸石は農耕神、衝神、荒ぶる神となっている。

 私としては、塞神のように疫病とかから村を防ぐ神という一面、旅の安全を願う神としての一面があったエピソードが面白かった。また、猿田彦は庚申信仰とも結びついており、その意味で、庚申信仰も道祖神も民衆の信仰として習合していることが分かり非常に勉強になった。

 いずれにしろ、1~4の種類について、古典を紐解き、わかりやすく解説している。そして、かみ砕きながらも含蓄が深く、自身の研究の厚みから導かれた推論も混ぜられた非常に面白い内容となっている。

 道ばたにある不明な石塚や立像がちょっと違ったモノに変わるような気がする。

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
kumaの学習ノート

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。