ピアジェ遊戯論における遊びの根拠の一考察

猪田裕子(2004)「ピアジェ遊戯論における遊びの根拠の一考察」『教育学科研究年報』30, 41-50,関西学院大学

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002963109

PDFあり

 遊びを幼児期の心理的発達を知る上で、ピアジェやフロイトなどが挙げられる。この論文は、ピアジェがどのように遊びを捉え、そしてその延長線上にどのような発達の道筋を見ようとしていたのかを概説している。この論文では特に、幼児教育における「遊び」のとらえ方と、大人の関わり方や、教育における遊びとは何かに焦点を当てて考察している。

 日本における保育は、どちらかといえば「子供の集団がいかに教育者によって上手く導かれ、滞りなく保育時間を過ごすことが出来るかに、視点が注がれている」(P.48)とされる。本来的に保育は、子供の自発性や創造性をはぐくむために遊びが教育目的に用いられている。この自発性はどうして子供にとって必要なことなのかをピアジェの発達心理学のあり方を参考にまとめている。なぜ自発性が大事なのかは、自発性がないと内的な秩序が形成されず、「いかに学びそれを自己の内に構成していくかと言う視点」(P.48)が育たないからである。とはいえ、子供が外からの助けなしでは、自発性を身につけるのは非常に難しく、「自発的行動を引き出すことは大人にとっても非常に難しい」(P.47)からであるとする。

 この論文は、その意味で、遊びという名の教育のあり方を論じている。間違っても本来的な遊びとは違う。しかし、その線引き(本来の遊びと教育的遊び)がしっかりしているため、読み手にはすんなりと入っていくことになる。ついつい、遊びを教育の道具にしてと反感を抱きそうな物だし、本来の遊びを追求することが大事ではないかと思わないでもない。しかし、保育者は、良き遊びを提供してその子供達の自発性や創造性をはぐくむことが幼稚園教育要綱や保育所指針でうたわれている以上、その枠組みで遊びをよく知っておくことが大事である。その意味でこの論文は、これはこれで保育者が遊びを提供するときの良い指針になると思われる。


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