知的障害児の日常生活スキルの形成と長期的維持

五十嵐勝義・武蔵博文(2005)「知的障害児の日常生活スキルの形成と長期的維持」『富山大学教育学部研究論集』8, 31-42

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004598159

PDFあり

 国立大学教育学部の修士論文を手直し修正した内容。要約にこの論文の言わんとしていることが全て述べられている。

 簡単に言うと、養護学校での日常生活に関わるスキルを学んでも、家庭で使えない場合が多いし、使えても、長期的に身に付かないケースがある。そこで、家庭での様子や独自のやり方などを取り込んで、適したスキルの習得を教育していったら一年間はそのスキルが維持されたことが確認されたとされる。

 教室で教える以上は、仕方のないことかもしれないが、一般化するためには家庭環境の中に阻害要因を見つけるという視点を取るのはどうか。むしろ相互における構造ややり方の違い程度に捉えておけばいいのではないか。もっとも、この論文では、だから家庭環境の変容を強制したり、家庭を下位と見るのではなく、教育でのスキル習得と家庭の相互作用の中で捉えているところに独自性があるといえる。それだけ教育は教育という枠組みで研究されている傾向が強いということか。

 さすが修士論文と言うべきかか、日常生活スキル獲得のための教育の流れがモデルとして提示され、その効果をしっかりと記録されている。この通りに行えば、1つのツール(方法)として行える丁寧さである。今回は、洗濯、食器洗いの二つについて、それぞれ2名ずつのサンプルとして提示されている。そのモデルは大まかに、課題分析→ベースライン測定→集中指導→フォローアップ評価→考察である。内容も明確で妥当なもののように思える。

 ただ、紙幅の制限があるのか、最後の考察は自画自賛というか予定調和のようにこのツールの良さを強調しすぎている嫌いがあるように思えた。

 とはいえ、知的好奇心を刺激する内容で、ツールの提示のために圧縮したと思われるので、その膨大な資料の提示と、さらなる測定の汎用化など改良の余地があるが、もし汎用化されるのならば、1つの教育方法として確立するのではないかと思われた。


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