介護労働者の労働条件をめぐる法的課題

瀧澤仁唱(2011)「介護労働者の労働条件をめぐる法的課題」『桃山法学』 (17), 29-58,桃山学院大学

http://ci.nii.ac.jp/naid/110008456821

PDFあり

 かなり批判的な論文。介護労働者の雇用に関する法律、条例、通知をつまびらかにして、その中にある欺瞞を暴いている。介護職の離職率が高いことは周知の通りであるが、その大きな要因が賃金の低さにある。その賃金の改善について行政や国はどの様に使用者に通知しているかを論じている。

 その結果、法律では、介護労働者の「雇用管理」の改善であって《雇用の改善》ではないこと。使用者は改善の「責務」があるとするが、「義務」よりも軽い言葉であり、文言の最後が「ものとする」と表現されるように、「しなければならない」とか「○○する」といった文言よりも弱い表現である。厚生労働大臣や知事の命令もかなり及び腰で控えめであること。改善交付金や助成金も事業者に入るものの労働者には全く入ることのない制度でありまったく改善する意志が感じられないこと。厚労省の通知も労働基準法を再読するような内容で、なんら介護労働者に特別に配慮するような内容であることを指摘している。

 この通知は使用者が労働者に対して周知徹底させておかないと行けない事項である。この事についてかなり痛烈に批判している。

 労使関係におけるごく当たり前のことをおおまじめに通知していることは、本来最低限の基準として守られなければならないものが労働行政によって守られてこなかった証明である。雇用管理の徹底を通知で是正するばかりではなく、この原因を厳密に分析して、それを打開するような労働政策を行ってこなければならなかった。そこにこの通知の問題点がある。

 その後規制緩和による競争についての批判を重ねている。いちいちもっともである。途中にある通知とか法律の列記は慣れない人にはやや面倒くさいかもしれないが、まとめから読んで、最初に戻るとすごく興味を持って読むことが出来ると思われる。


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