ホームレス状態の解消と持続する排除

山田壮志郎(2013)「ホームレス状態の解消と持続する排除」『日本福祉大学社会福祉論集』128,51-65

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 副題は、社会的包摂志向のホームレス対策に向けて となっている。

 アベノミクスとかいわれ、景気回復とか成長戦略とかそうしたことが強く打ち出されている。しかし、未だに景気回復を実感する人は一部に過ぎないし、円安による物価の上昇や今後ある消費税アップと小市民には厳しいのが実感である。とはいえ、浮かれているのは富裕層だけで、ホームレスや低所得者はむしろ増加傾向にある。派遣社員の増加、正規雇用の減少は、生活保護費以下の生活を強いる。

この論文は、現在あまり脚光を浴びることが少なくなった(年越し派遣村のムーブメントに比べると)ホームレスと、その人達を生活保護に結びつけた後の状況について最新の内容となっている。現在、違法アパートとかも問題になっているが、まずはホームレス、野宿の状態から居住の場の提供への道筋は以前に比べて周知されていることを評価している。しかし、その人がたとえアパートで住んでいても、孤立状態にあるとか、社会的に剥奪状態にあることには変わりなく、そうした支援が日本では全くされていないことを論じている。「社会的排除」とは何かに詳しく書かれており、参考になることが多かった。

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スーパービジョンが福祉現場に根付かない理由についての考察

塩田祥子(2013) 「スーパービジョンが福祉現場に根付かない理由についての考察」『花園大学社会福祉学部研究紀要』21,31-40

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 非常に読みやすい。やや独善的な表現が多いけれど、ある意味それが現場にありがちだなと読まされてしまう内容。

 スーパービジョンと書くと、なんだか高尚な理論のように写る。けれど、上司やベテランが、新人教育とか悩み事を聞いたり、ケースでつまずいていることを教えることである。実はそれがスーパービジョンの正体であり、だけど…と注釈を付けるところに、スーパービジョンの独自性がある。アメリカ生まれの理論なので、どうしても日本での運用にはアメリカのように行かない民族性がある。そもそも、あっちではスーパービジョンという独自の仕事があるからね。またコンサルテーションとの違いは、コンサルはどちらかというと異業種の人がアドバイスをしたり、何かのヒントを与えるというイメージが強い。スーパービジョンは、同業者、あるいは同じ組織に属しているものがより具体的な解決策を示したり、またはスキルアップを施すという違いがある。

 いずれにしろ、この論文では幅広く、日本におけるスーパービジョン的取り組みの特徴と課題をあざといくらいに分かりやすく書いている。現場にいる人たちにとって、思わずニヤニヤしてしまう箇所もふんだんにあり、でも、いつの間にか考え込んでしまう内容である。


プロフィール

kuma

Author:kuma
救護施設→知的障害児施設→通所介護施設(高齢者)と15年以上。これからも思考と体力で、働いていきます。

自分のサイトもあります。
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